
全日本黒帯の無差別級王者がJJFJのインタービューに応えてくれた。ブラジル生まれの日系ブラジル人である彼は、今は日本を代表する選手になり、見事に今年の全日本柔術選手権大会で優勝を果たした。家族の事やこれからの目標について語り、最後に日本柔術界にメッセージを残してくれた。
今回の試合はいかがでしたか?
どの大会も僕にとっては大事なんだ。
誰と試合をしようが、試合の数も関係ない。全力を尽くせば良いと思っている。勝敗に関係なく、良い試合ができれば満足だ。
今回はポイントを失うことなく、相手選手を極めることができた。ちなみに、日本に移住してから57試合をして、49試合は一本勝ちし、4試合は敗れてしまった。57試合中、失った点数は8ポイントのみ。
柔術での主なタイトルは?
・サン・パウロ州大会 7度優勝
・ブラジル杯 階級別優勝、無差別級3位
・南ブラジル選手権 優勝
・セントラル・オール・ジャパン 階級別と無差別 優勝
・ヒクソン杯 優勝
・FNBJJ 優勝
・愛知オープン大会 優勝
・DESAFO PREDADOR 優勝
・大阪プロ柔術大会 優勝
・ドゥマウ・インターナショナル 階級別と無差別級 優勝
・全日本柔術選手権大会2009 優勝
今年の全日本柔術選手権大会はいかがでしたか?
日本は年々柔術人口が増えている。
もちろん、技術も高くなっていると思う。だから、そろそろ柔術のために真剣に取り組む連盟が出てきてもよい頃だと思っていたよ。
選手と試合のレベルがこれ以上のものはないと思う。
日本では最高の大会の一つだ。
マルコス選手は柔術一家の何代目にあたりますか?
僕の父であるアジウソン・ソウザは黒帯の5段。(現在50歳であるが、35年間を柔術のために捧げてきた。)
兄のマウリシオ・ソウザ(30歳)は黒帯2段。
次に来るのは自分で、黒帯初段。
妹のクリスチアーネ・ソウザ(21歳)は黒帯。
ホベルト・ソウザ(20歳)は茶帯。
そして最後にムリーロ・ソウザ(9歳)は黄帯。彼は黄色帯の部ではサン・パウロ州のチャンピオンだ。
僕の父は僕たち兄弟に柔術の練習を押し付けたり、柔術の選手になるように強要したことはなかったが、自然とみんな、柔術家になっていたんだ。
柔術を始めてからも試合で勝てと言われたことはない。
ブラジルでは自分の子供に最初に与えるプレゼントはサッカーボールだと言われているけど、面白いことに、我が家では柔術衣が与えられるんだ。
今回の全日本選手権で弟のホベルト・サトシ選手が見事に階級別と無差別級の2階級を制覇し、表彰台で茶帯を与えられましたが、世界大会やヒクソン杯などの大規模な大会で優勝しているのにも関わらず、何故あえて全日本で帯昇格をしたのですか?
帯を与える前に父と兄に昇格の相談をしたんだ。
彼は、出場した全ての大会で優勝し、ほとんどの試合を一本勝ちしている。
紫でやるべき事は終わったと思ったからだ。紫帯での彼の実力は明らかだからね。
柔術に対してはいつも真剣に向かうようにしている。
父は柔術のために人生を捧げてくれたけれど、彼がまいた種を今度は、私たち兄弟が育てる番だ。
私たちの道場は帯の基準が厳しいと言われているが、それは父の帯の基準が厳しいからなんだ。マット以外の事も考慮しているからね。
弟のホベルトが帯の試験で技術面で欠けていた部分があり、父に落とされたことがあるのを覚えているよ。
父からは「偉大な選手になれ」と言われたことはないが、「将来、何をするにせよ1番になりなさい。なぜなら2番目の人は忘れられしまうから。」とよく言われたものさ。
2010年の目標を教えて下さい。
来年前半にMMAにデビューする予定だから、MMAの練習に集中しているよ。日本、ブラジル、アメリカの大きなイベントから良いオファーを受けているんだ。
今は打撃を練習していて、これからはMMAに専念したい。でも柔術をやめることはないよ。
僕の戦い方を気に入ってくれるイベントがあれば、どのイベントにも出場する予定だ。
柔術の練習をしているみなさんにメッセージはありますか?
夢をあきらめてはならない。どの様な事にも、人生を左右されてはならない。結果はどうあれ、自分で選択し、自分で決断を下すことだ。
「絶対無理」だという人を驚かせ、サポートしてくれる人の期待に沿えるように、あきらめないことだ。
例え勝利が遠いと思えてもだ。
この世に生まれた人には2つのタイプが存在する。
一つはただ生きるために生まれた人。そしてもう一つは、人を魅了するために生まれた人だ。
君が誰であろうと、何になろうと、今どこにいようと、目標が何であろうと関係がない。
ハードルが高くても、関係があるのはその意欲だ。
毎日レベルアップをしていく勇気が大切だ。 |